講座 「ムスリムのお客様をもてなす心得」-異文化理解に基づく人間的共感のために-
とき 本年6月4日(土)10時~16時
ところ 松本大学 5号館 524教室(長野県松本市新村2095-1 電話0263-48-7200[代表])
http://www.matsumoto-u.ac.jp/introduction/guide/access.php
講師 徳永 里砂
(サウジアラビア王国イマーム大学東京分校アラブ イスラーム学院 研究員、金沢大学客員准教授)
講座 「ムスリムのお客様をもてなす心得」―異文化理解に基づく人間的共感のために―
プログラム 午前の部 10:00~12:00 「異文化理解の鍵とムスリム客をもてなすための基礎知識」
12:00~13:00 昼食
午後の部 13:00~14:20 「ムスリム客を満足させるおもてなしとは?」
14:20~14:40 休憩
14:40~16:00 質疑応答とディスカッション
聴講料 一般 ¥1,000 学生 ¥500
昼食代 ¥500
連絡・問い合わせ先
信州イスラーム世界勉強会事務局
(時事通信社長野支局内)
〒380-0836
長野市南県町657 信濃毎日新聞社7階
Tel 026-232-5013
Fax 026-232-3551
※お問い合わせは平日9:00~17:00の間にお願いします。
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→http://www.alps-shirt.co.jp/n-muslim-s/contact.html
開催の趣旨
日本を訪れる、また日本で暮らす、ムスリムの方々との人間的・文化的な相互理解をどのように進めるか、
という課題への取り組みです。
観光庁は「ムスリムおもてなしガイドブック」を作成し、「訪日ムスリム外国人旅行者の受入環境整備等
促進事業」を立ち上げて県内でも大町市や白馬村がその対象に選ばれており、「ムスリム受入れセミナー」
なども開催されています。また民間でも「ムスリムフレンドリー長野」の活動をはじめ、ハラール食品へ
の関心に示されるような交流への熱意が高まっています。こうした動きを意味あるものにするためには、
ムスリムを一色の塊とみて、付き合い方(ないし扱い方)の技術・ノウハウばかりを気にしているだけで
はすみません。
イスラーム圏といっても多様多彩な文化のもとでの一人一人の人間の生き方・ものの考え方からの学び、
人間同士としての共感をつうじて、知識と感性を鍛えながら、イスラーム理解を深め・豊かにすることが
大事ではないでしょうか。日本の社会や文化を理解してもらうためには、自分自身 日本をよく知っていな
ければならないのではないでしょうか。
ムスリム世界との広く深いお付き合いをつちかってきた徳永里砂先生から、ご自身の体験や観察にもとづ
くお話をたっぷりとうかがい、有益な情報やヒントを得るとともに、それを活かす応用動作について、み
んなで語り合う、そんな講座が実現されることを期待します。(信州イスラーム世界勉強会代表 板垣雄三)
講師紹介
徳永 里砂
1997年慶應義塾大学文学部卒、1999~2001年カイロ大学留学、
2005年文学博士(慶應義塾大学)
学術振興会特別研究員、慶應義塾大学非常勤講師、東京工芸大
学非常勤講師を経て、2008年~現在東京麻布のアラブイスラー
ム学院研究員。2016年~金沢大学国際文化資源学センター客員
准教授。
学術上の専門アラビア考古学・碑文学。邦文著作 『イスラーム
成立前の諸宗教』、翻訳 マーク・アラン・スタマティー『3万
冊の本を救ったアリーヤさんの大作戦』、翻訳 カレン・アームストロング『ムハンマド―世界を変えた預
言者の生涯』(いずれも国書刊行会出版)、分担執筆 中村 覚編著『サウジアラビアを知るための63章』
明石書店)等。
留学、サウジアラビアなどアラブ諸国でのフィールドワーク調査・研究の体験ばかりでなく、仕事上、また
自らもムスリマとして日常的に多くのムスリムたちと関わっている。アラビア語をはじめとする多言語に対
応し、専門の面でのこれまでの研究業績は国内外の学界で注目されている。イスラーム世界との「暮らし」
の面での付き合いの深さから、日本社会に向けて異文化理解・交流に関する講演活動も行なっている。
5月2日には東京渋谷の映画館アップリンクでパレスチナ関連のドキュメンタリー映画「だからまいにちた
たかう」(その字幕翻訳に協力した縁で)上映後のステージ・トークにも立つ。
講師からの一言・講座内容
信州の皆様がムスリム客のもてなしについて、このように非常に熱心に取り組んでくださっていること、
大変嬉しく存じます。この講座を通して、皆様が信州の素晴らしい魅力を彼らに円滑に伝えられるよう、
お手伝いができればと思っております。
概してムスリムから見た日本人の評価は非常に高いのですが、おもてなしの場面では日本人の規律
正しさが裏面に出て、柔軟性に欠けていると映ってしまったり、相手に良かれと思ってしたことが裏目に
出てしまったりする場合があります。しかし、私たち日本人の特徴を知るとともに、相手の文化について
理解し、準備をしておくことで、このような残念な事態を回避し、お互いに快適で心に残るおもてなしを
することができます。午前の部では、異文化コミュニケーションに際しての考え方に加え、宗教的なこと
を含め、ムスリム客に不自由・不都合を感じさせないための注意点、午後の部では、信州の魅力を相手に
十分に楽しんでもらえるようなおもてなしの秘訣をご紹介します。
午前の部 「異文化理解の鍵とムスリム客をもてなすための基礎知識」
午前の部では、異文化理解の出発点として世界における日本人の位置付けを認識するところから始め、
ムスリムとはどのような人々か、ムスリムへの挨拶の仕方、ジェンダーにおける注意点、ハラールの概念、
食事・調理上の注意点、礼拝のための配慮、宿泊施設の要件、衛生面での配慮、家族客への対応、プラ
イバシーに関する考え方、タブーの話題、宗教面での配慮はどの程度必要かといった基本的な情報を、
ムスリムたちの実情を踏まえてお話しします。
午後の部 「ムスリム客を満足させるおもてなしとは?」
世界人口の4分の1に達しようとしているムスリムたちの趣向を十把一絡げに論じることには無理がありま
すが、アラブ諸国、東南アジアからのムスリム観光客の趣向は日本人・欧米人観光客のそれとは明らかな
違いがあります。午後の部では、私自身の経験を踏まえ、ムスリムたちの生活スタイルに合わせた日程の
組み方、ムスリムの時間の感覚、観光におけるムスリムの一般的な趣向、ムスリム向け観光ガイド・モデル
コースの作り方、スポーツ、食事、土産物の趣向、買い物と商取引における留意点から、予定変更・キャン
セルに対する考え方、思考回路の違い、冗談への対応まで、ムスリム客とのコミュニケーションのこつと、
ムスリム客満足度日本一の信州を目指したおもてなしのアイディアを提案します。また、皆様の個々の事例
に対応できるよう、最後に質疑応答と話し合いの時間を長めに設けましたので、積極的なご参加をお待ちし
ております。